Cross Talk
クロストーク
司会
2000年に医療安全委員会が設置されまして、更に2004年に医療安全管理室を設置しております。15年以上続く医療安全管理室とはどのような組織なのでしょうか?
齋藤
医療安全に関するシステムづくり、その医療安全のためのシステムが正常に実行されているかどうかの確認、それから問題が生じたときに対応、主にその3本を柱とした活動を行っています。
司会
リスクマネジメントではなくセーフティマネジメントチームと命名されたそうですが、命名に対する想いを教えてください。
渕上
私が医療安全管理者になったとき、リスクマネージャというような言葉は、リスクが前面に出る印象がありちょっと抵抗がありました。リスクを管理することも大切なことなのですが、それよりもセーフティ、安全というようなプラスの表現にしたいと院長に提言したところ賛同してくだり名称が変わりました。
司会
セーフティマネージャは日々どのような業務を担当していますか。
渕上
1階の入ってすぐのところに医療安全管理室がありますので、外来の患者さんの対応から院内全体を見まわして色々なことを毎日確認しています。色々な情報が集まるようになっていますので、その中で優先順位をつけて対応しています。
司会
患者さんに対してはどのように関わっているのでしょうか。
渕上
患者さんが「相談があるんだけど」と管理室にいらしたときは直ぐに対応しています。また、医療安全相談、看護相談などもあります。
司会
野村師長は今年から医療安全の仕事に関わるようになられたそうですが、どのようなことをされていますか?
野村
患者さんへ安全に看護が提供できるように、いつもと違うことがないかという視点をもち、業務に取り組んでいます。よく渕上マネージャに「当たり前のことを当たり前に」と言われるのですが、それが出来ていない部分もありますので、スタッフが日々きちんと行っているか見守りつつ、出来ていない部分はマニュアルを変更し、徹底できるよう取り組んでいます。
司会
最近はハラスメントが社会で問題になっています。2020年6月にハラスメント防止法が施行され企業に義務付けられましたが、CCMCではどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。
渕上
当院でも2年前から管理者向けに研修会を行っています。その後は今年3月に研修会を顧問弁護士に行ってもらう予定でしたが、残念ながらコロナで延期になってしまいました。そのときに当院のハラスメント規定、ハラスメント防止対策規定、セクハラ防止対策規定を見直しました。時期が許せば職員全体でハラスメント研修を行いたいと思っています。
ハラスメントは受けた側がハラスメントと感じたら、相手側がどう言おうとハラスメントとして取られてしまうということを管理者や職員が認識するようにしたいと思います。
司会
医療安全に対して職員が気に掛けるようになるのはいい傾向だと思うのですが、新しく入ってくる職員はどのようにされているのですか?
渕上
インシデントを起こしてしまった際、過去は絶対戻れないので、「次に同じことをしなければいい」と常に考えています。よく「インシデント起こしてすみません」って言われるんですけど、そうではなくて「同じことを次に起こさなければいいんだよ」って言うと、新入職者は「えっ」って驚いたりします。でも安全にやっていくには、自分で起こしたインシデントを次に活かせてもらえればよいかと思います。そういったところを常に新しい方に管理者を通してお話ししています。
司会
セーフティマネジャーは昨年に「5Sと医療安全の関連」についてセコム提携医療安全部会で発表していますが、その内容を少しご紹介ください。
渕上
5Sと医療安全というものは密接な関わりがあると言われています。安全に行うためには整理整頓。整理整頓していれば安全に行えるというものです。それをCCMCの事例を通して、どうして5Sと医療安全が結びつくのかをインシデントから分析しました。それで整理整頓、5Sが進んでいる部署は「患者さん主体のインシデント」が多い、逆に5Sが進んでいない部署は「看護側が主体のインシデント」が多いところを見つけました。5Sと医療安全がつながっているというところを可視化しました。それは自分の中でも、大きな気付きでした。ですので、「5Sと医療安全は大切ですよ」と常に言っています。
司会
5S活動ですが、かなり職員が気にするようになったと思いますが、そこに行きつくまではどのような努力をしてきたのですか?
渕上
5Sを始めたときは、業務改善の一環でした。最初、5S活動が進んでいる病院に見学させてもらって、その後、研修に行きつつ見よう見まねでやっていました。私が担当者になったときにはある程度のところで引き継がれたので、あとは少し精度を高めるだけでした。セコム医療システムの5S担当者からも「CCMCは5S活動を継続して行っていて素晴らしい」ってお言葉を頂いています。それは私だけの力ではなく、職員みんなが気にしてやってくれているところが一番大きいと思います。
司会
病棟にパニックボタンってあると思いますけど、職員を守るっていう部分の安全はどのような対策をとっていますか?
渕上
パニックボタンはCCMCがセコムに「作って欲しい」って言って作ってもらった仕組みです。その後に色々改良を重ね、ペンダントタイプを作ってもらったりしています。それはCCMCが病院として職員を守る仕組みの一つですよね。
齋藤
患者さんからの暴力から守るっていうのもありますし、パワハラ、セクハラからも守っていくという取組みとなります。
司会
医療安全管理室の今後の展開をお聞かせください。
齋藤
この病院が地域で信頼されて必要とされる病院になっていくには、やはり医療安全は一番の柱ですね。医療安全管理室、医療安全委員会、セーフティマネジメントチームメンバーみんなで頑張って、ますますこの病院の医療を安全に行えるように力を併せて努力していきたいと思います。医療安全管理室は前任者や今の渕上さんにしても非常に熱心的にやってくれています。個人の資質に頼っているのが実情ですので、若い子たちを育てていく必要があると考えています。
渕上
「伝えると伝わるは違う」ってよく言っているんですけど、そこでどうしても認識のズレがあるとインシデントって起こりやすくなります。「自分が思っていることと相手が思っていることが一緒なのか、ということは常に認識を一緒にしてくださいね」と言っています。あともう一つは、病院全体を見て、安全の基本って接遇なんですね。そこのところは常日頃から言っています。それはずっとこれからも続けたいと思います。
野村
私は手術室師長ですので安全に行えるように勉強会などスタッフを育てていくために事故が起きた際には情報共有をして事故を防ぐことを徹底していきたいと思います。
司会
本日はありがとうございました。